《MUMEI》
正真正銘恋する乙女
「す、すみません…迷惑、でしたよね…」


(あれ?)


「…俺のアパートに来るんじゃないのか?」


俺の中では


俺に相談に来る


イコール、アパートまで押し掛けてくる


が、普通だった。


だから


「そ、そんな図々しい事できません! 一番は謝らなくちゃと思って…!

あと、できれば…

お話、したくて…」


徐々に消えそうな声で訴える長谷川の反応は、かなり新鮮で


「寒いからさ。場所移動して話聞くよ。俺の部屋が嫌なら、そっちで場所決めてくれる?」


自然と俺の口調は優しくなっていた。


(これが、乙女な柊と、恋する乙女の違いかな)


柊は結局いくら健気でも、男だから、強い態度で接する事ができた。


しかし


目の前にいる


年下で、健気な恋する乙女


長谷川を邪険にする事は、俺にはできなかった。


(だからって、俺が真司との問題を解決する事はできないけど)


そして、俺と長谷川は


長谷川が決めた


俺のアパート近くのバス停を降りて、少し歩いた場所にあるファミレスにやってきた。


外はまだ雪だったから、店内はそこそこ混んでいた。

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