《MUMEI》 「何だい‥? それは──」 「貝殻」 「貝殻‥?」 「ほい」 「‥ぇ、くれるのか‥?」 「アタシ持っててもしょーがねーし」 「有り難う──」 何の変哲もない 小さな貝殻。 けれど 何だか宝物のように 僕には思えた。 「ん‥、まだ何かあるのか?」 「何かチビっちぃのがいる」 「ちびっちぃ‥?」 「ほら」 「ぁぁ‥本当だね──。‥?」 「───────」 「珠季?」 「いや──久し振りだなーって」 「君も久しいのか‥?」 「まーなー。‥ぁ」 「?」 「つーかアタシ、まだ訊いてねーんだけど?」 「何をだ‥?」 「受験結果」 「ん‥‥‥、ぁぁ‥」 そうだった‥。 まだ珠季に報告していなかったな‥。 前へ |次へ |
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