《MUMEI》
真司の優しさ?
「花嫁候補の事とか、…見極め人の先輩の事とか、言っちゃいけないって、わかってたはず、なのに…

本当に、申し訳ありませんでした…」

「もういいよ。こうしてすぐに謝ってくれたし」


(いい加減、顔を上げてほしい…)


そんな俺の願いが通じたのか、長谷川はやっと


少しだけ、顔を上げた。


「それは、真司が、教えてくれたからで…」

「真司が?」

「はい。メールで…」


長谷川はカバンから携帯を取り出し、真司からのメールを見せてくれた。


そこには


花嫁候補の事と見極め人について、俺に聞いた事


花嫁候補の事と見極め人の事を自分に話した事を、俺に謝る事


そして


別れるか別れないかは、長谷川が決める事


が、書かれていた。


「だから、早めに謝って、…今後について、相談にのっていただけたら、と」


(道理で行動が早いわけだ)


納得しつつ


(しかし、…早めに謝っておけっていうのは、長谷川を心配して、…なのか?)


微妙な疑問は残った。


「それで、あの…その…」

「長谷川はさ。真司と別れて花嫁候補に戻りたいと思ってるのか?」

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