《MUMEI》 真司を好きな理由「…おかわり、いります?」 「あ? …あぁ。同じので、頼む」 飲み物が終わった時点で、長谷川は少し落ち着いたらしい。 俺は、長谷川に自分のカップを手渡した。 (雪、やんだな…) 「お待たせしました」 「ありがとう」 俺は視線を窓から長谷川に移した。 「あのさ、長谷川は、真司のどこが好きなんだ?」 「…笑わないで、下さいね」 (やっぱり見た目か?) 俺は、頷きながら、長谷川の答えを待った。 長谷川は、本当に消えそうな声で 驚きの答えを述べた。 「…サッカー、好きな、所、…です」 「はぁ!?」 今度は俺が大声を出した。 落ち着こうと手を伸ばしたコーヒーはまだ熱くて飲めなかった。 「何だよそれ」 落ち着けなかった俺の言葉は冷たい口調になり 眉間にもしわが寄っている気がした。 「すみません…」 「いいから、ちゃんと説明しろ」 (わけがわからない) 「あの、ですね…」 長谷川は、俺に怯えながら、少しずつ語り始めた。 …聞いてみたら、簡単な話だった。 (頼といい、…お互いちゃんと話し合えばいいだけじゃないか) 前へ |次へ |
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