《MUMEI》
ライバル登場?
うぅぅ・・・緊張するよ・・・。
今宵は1年間過ごす新しい教室の前で、深呼吸をした。
「なにしてんの」
「だって緊張するじゃん!!」
「今から緊張してどうするんだよ」
歩雪は今宵を一瞥して、1人教室に入った。
「だから待ってってば!!」
今宵が慌てて教室に入ると、歩雪を見て女子が騒いでいる。
「きゃぁ!!やっぱかっこいい!!」
「同じクラスになれてラッキーだよね!!」
歩雪くんはやっぱりモテるんだなぁ・・・。
いつものことだけど。
今宵はその光景を見て溜息をつく。
スラッとした長身にサラサラの黒髪。
さらに整っている顔の涼やかな目元に銀縁の眼鏡。
モデル顔負けのルックスでモテないはずがない。
私が歩雪くんを好きだ、なんて迷惑なのかも・・・。
今宵は心が沈んだが、気持ちをすぐに切り替えた。
とりあえず席を探そう!!
今宵は黒板に掲示してある表を見て、自分の名前が書いてある席の位置を探した。
やった窓側だ!!
今宵はうきうきしながら席に着いた。
歩雪くんはどこなんだろ?
近いといいんだけど・・・。
歩雪を探して教室を見渡すと、1番廊下側に座っていた。
あーあ、結構離れちゃったな・・・。
まぁ、同じクラスなだけいっか!!
「可愛いーね!!名前なんていうの!?」
「はい?」
今宵の隣の席に着いた男子が話しかけてきた。
なんかすごい格好してる男の子だなぁ・・・。
「オレ琴吹紘(ことぶきひろ)!!よろしく〜♪」
紘、と言った男の子は、髪の毛は金髪に黒いメッシュが入っていて、制服もかなり着崩していた。
この琴吹くんも、歩雪くんとはまた違う感じでキレイな顔してるなぁ・・・。
ってあ、私も自己紹介しなきゃ!!
「雪村今宵です!!よろしくね」
今宵は紘に笑いかけた。
こうすれば失礼にならないよね!?
「へー、今宵ちゃんかぁ!!本当に可愛いね!!オレと付き合わない?」
「・・・はいっ!?」
な、何言ってんのこの人!!
「冗談だよ、冗談!!」
紘は今宵に恥ずかしげもなく笑いかけている。
「ったくもー!!びっくりするでしょ!?」
この人危険だ〜!!
絶対こういう事に慣れてる!!
「歩雪くん、よろしくね?」
「・・・・」
今宵がふと歩雪のほうを見ると、女の子が声をかけていた。
歩雪は完全に無言だが。
あの女の子・・・誰だろ?
キレイな子だなぁ・・・。
「ほら、席に着けー!!ホームルーム始めるぞ」
また先生、いいところに・・・。
今宵はスルッと力が抜けた。
ま、いっか!!後で歩雪くんに聞いてみよっと!!
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