《MUMEI》 演劇部の部室各部の部長と副部長は、部室の鍵を所有している。 だから、新副部長の真司はサッカー部の部室に昨日俺を呼び出し 俺も、今日、演劇部の部室に、真司と長谷川を呼び出した。 弁当組の俺と長谷川はほぼ同時に来ていて 購買に寄る真司は、少し遅れてきた。 「演劇部って、フローラルの香りがするな」 「前の部長の趣味だ」 部長はこの花の香りのする芳香剤が大好きで、まだストックが残っていた。 「そんなにきつくないから、昼食べるのに支障無いだろ」 「まあな」 「あの、真司、これ…」 昨日のうちに、真司と別れないと決めた長谷川は、真司の分の弁当を渡した。 「ありがと」 『別れない』とメールをもらっていた真司は普通にそれを受け取り、長谷川の隣に座った。 俺は、そんな二人の向かい側に座り、今日も祐特製弁当を食べた。 食べきれない分は、真司と 試食も兼ねて、長谷川にも食べてもらい、祐の新作のおかずの感想を聞いた。 「で? わざわざ呼び出したのは、弁当食べてもらうだけじゃないだろ?」 長谷川が持ってきた水筒のお茶を飲み終わり、真司が俺を見た。 前へ |次へ |
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