《MUMEI》

さて‥

何とか無事に海岸まで戻って来たはいいとして‥。





この濡れた状態を何とかしないとな‥。

「珠季──ひと先ず着替えを調達──‥珠季‥?」

「おーいっ、これでいーかー?」

「‥!」

いつの間にっ‥。

「というか何なんだその組み合わせは‥!?」

「オマエ‥今日何かやけにテンション高ぇなぁ」

「お陰様でね‥」

自分でも驚いている位だ。

‥もしかすると‥。

それが本来あるべき僕なんじゃないか、

少しだけ

僕はそう思った。

偽ってきた自分が

僅かながら

本当の僕という存在に変わりつつある。

彼女のお陰によって。

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