《MUMEI》
老婆の過去
「当時ワシは、この辺りでは有名な財閥の家で、使用人として働いておったのだが、少々複雑な家庭でな…

旦那様と奥様は、親同士が勝ってに決めた結婚相手じゃった。

所謂、政略結婚じゃ。


旦那様は、それはそれは容姿端麗な二枚目で、政略結婚とはいえ、奥様は大変旦那様を好いておった。


しかし、旦那様は違った。


奥様を一度も愛した事などなく、それ故子宝に恵まれなかったのじゃ。


そんなある日、わしが使用人として屋敷にやってきた。

まだ若く、世間知らずだったわしに、旦那様はとても優しく接してくれた。


じゃが、それがただの親切心からではない事が分かったのは、奥様が屋敷を留守にした日の晩じゃった。


男を知らなかったわしは、旦那様に口説かれ、一夜を共にしてしまったのじゃ。

許されぬ関係じゃ。


いけない事とは分かっていた。

奥様を裏切る行為じゃと…

じゃが、抵抗しなかったのは、わしが旦那様を好いていたからじゃった…

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