《MUMEI》
3.過去
3.過去

臨(リン)「あの時、母さんが安野 丈 の父親に再会しなければどんなに良かった事か。」

女神「 丈 の父親と絵理のお母さんは大賀根病院で会った事があったのよ。
たまたま院長室までの案内をしたから顔を覚えていたらしいの。安野 丈 の父親は後から思い出すとヤバイと思ったんでしょうね。口封じの為に絵理のお母さんに新薬の実験を兼ねて薬物を投与したのよ!
色んな薬物を投与された絵理のお母さんは瞬く間に精神異常者になってしまったわ…私達は許せなかった!
丈 の父親を血眼になって捜したわ。
丈 の父親を発見した時、夫婦で仲良く買い物をしていたわ。
バス旅行に行くとかで楽しそうにね。
私と絵理はバス旅行の時に復讐する事を決めたのよ。
絵理がバスの運転手をマインドコントロールして私が 丈 の両親に幻想を見せた。夫婦共々地獄に葬ってやったわ。」

香「ま、まさか?!臨(リン)、あなたまで?」

臨(リン)「…否定はしないわ。安野 丈 の父親は私達をそこまで追いつめたのよ。」

香「そ、そうね…そこまでされれば復讐をしてしまうかもしれないわ。
私も幼い頃に目の前で両親を殺害されて…それで身寄りが無くなって孤児院で育ったから気持ち、分からくもないわ。
今でも両親を殺害した犯人を憎んでいるし。」

女神「その両親を殺害した犯人は捕まったの?」

香「残念ながら捕まってないわ。手掛かりがなくて…犯人を目撃したのは私しか居ないのよ。
でも犯人は逃げる時、左足を引きずりながら逃げていったわ。それしか記憶がないけど。」

臨(リン)「左足?!確か安野 丈 の父親も左足が悪かったよね?」

女神「確かに 丈 の父親は左足を引きずっていたわ。」

香「そ、そんな…」

女神「もしアナタの両親を殺害したのが 丈 の父親だったら、どうする?
アナタの愛する 丈 の父親が犯人でもアナタは 丈 を愛せるかしら?」

香「そ、それは…。…愛せるわ!たとえ安野さんの父親が私の両親を殺害した犯人だったとしても私は安野さんを心から愛せるわ!」

女神「まぁ〜ずいぶんと偽善者なのね。 丈 はアナタの事なんて眼中に無いのに。
それを心から愛せるだなんて、笑っちゃうわ!」

香「そうね…安野さんには告白もしていないし、恋人でもないけれど…それでも私は好きな人の為になら自分自身を犠牲にするわ!
私には失うものなんて何も無いから愛する人の為に生きれるわ!」

女神「あら、そう。まぁいいわ。もしも 丈 の父親がアナタの両親を殺害した犯人だったのなら私達が仇を取ってあげた事になるのよね。ウフフ。
でも残念ね。
愛する人の為に生きるのも今日で最後。今、ここでアナタは死ぬのよ。」

臨(リン)「望代!お願いだから、もう止めて!優しかった あの頃に戻って!」

女神「うるさい!絵理だって 丈 の両親を殺した時は、あんなに喜んでいたくせに!今更、何よ!私を止める事なんて誰にも出来ないわ!」

女神は、そう言うと恐ろしい憎悪のオーラに包まれた。

牧刑事「おい!話しは終わったか!俺には、どーでも良い話だ。
早いところ真理を蘇らせろ!」

女神「そんなに急かさないでよ。
そんなに急かすなら自分から逢いに行きなさい。」

牧刑事「ハァ?なんだって?自分からって、どう言う意味だ。」

エリートサラリーマン風の男「こう言う意味だ。」

と言った途端、天井から牧刑事の頭上に大量の虫が落ちて来た。

牧刑事「ウワッ!?ウワッ!?グワッ!…チクショ…」

牧刑事は大量の虫に噛まれていた。藻掻き苦しみながら銃をパァーン!パァーン!と2発、宛てもなく発砲したが、直ぐにピクピクとするだけで動かなくなった。
牧刑事の体には黒い虫が大量に集っていた。

女神「さぁ〜うるさい邪魔物が居なくなったわ。
次は誰にする?フフフッ。」



つづく

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