《MUMEI》
「凄いな〜!まるで佐伯の部屋みたいだ!」
「……だな、確かに…」
誠に連れてこられた高層ホテルの一室。
まだ5時なのに外はすっかり暗くて、30階から見下ろす東京の夜景は凄く綺麗。
スイートではなく、ただのツインルームなのに、さすが国際ホテル?
芸能人が結婚式にも使うだけあって設えてある全てが上品で、優雅で…
とにかく俺には場違いだ…。
でもクリスマスだし……クリスマス…。
好きな人とクリスマス過ごすってなんか憧れてただけに…
「夜景綺麗だな」
「……うん」
夜景を見つめる俺を後ろから抱きしめてきた誠。
決して俺は小さい方じゃないのに長身の誠相手だとすっぽり包まれてしまう。
誠は俺の肩に顎を乗せ、頬をぴたりとくっつき合わせた。
「ドキドキする…」
「ドキドキするの?」
俺の胸に誠の大きな手の平があてられた。
それを支える様に押さえつけられて
「本当だ。ドキドキしてるね」
耳元で、低い声で囁かれてそして耳たぶを唇で挟まれた。
「〜〜〜…!!」
膝からカクンと力が抜けた。
でも俺の体は崩れなかった。
だって……
しっかり抱かれながら唇を塞がれたから。
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