《MUMEI》

「妖精でも出そうな森だね。」

朝は霧が掛かってモモから外に出ては行けないと言われていたが守る筈が無かった。


「ヨーセイ?妖怪だろ?」


「兄さんの国ではそういうの?」


「兄さん……?千守の兄になった覚えは無いが。」


「ごめんなさい、勝手に呼んでしまって。僕には何も無いから嬉しくなってしまって。」


「お前がそう思うならそうなのかもしれない。俺にはお前の意思を侵す必要は無いからな。」

俺には認められたと理解した。


「兄さん何処まで行くの、危ないよ。」

道に人の通った跡が無くなっている。


「天狗に攫われてしまうかもしれないな、そうだな天狗というのは赤い妖怪だ……森に住んでいる。」

兄さんは昔から拾い物が好きらしい。
使われなくなった小さな物置小屋に天狗がいた。

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