《MUMEI》

だんだん

陽が傾いてきた。

人影も

まばらになってきた。

「──ちったぁ涼しくなってきたなぁ」

「そうだね──」

「帰っか?」

「ぃゃ、もう少しいよう」

「何で」

「夕陽を見て行きたいんだ」

「何でアタシまで付き合わなきゃなんねーんだよ」

「嫌なら先に帰ってくれても構わないけど」

「ゃ‥やじゃねーよ、別に」

「ならいよう」

「──いーけど‥」

「いいけど?」

「───────」

「珠季?」

「何・でも・ねぇ・よッ」

「そう‥か‥?」

「そーだよッ」

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