《MUMEI》

陽が暮れて

赤々としていた空は瑠璃色に変わった。

僕らはまだ浜辺にいて

2人並んで海を見ていた。

「──なぁ、帰‥」

「らないよ──まだ」

「いつまでいんだよここに‥」

「──ほら、見えるかい? あの灯台──」


「見えたら何だよ、おい‥!?」

「──行ってみないか?」

「はぁ!?」

素頓狂に叫んだ珠季。

けれど

歩き出した僕を追い掛けて来ると

置いて行かれないように手を繋いできた。

少し早足になりながら

「もうちょっとゆっくり歩けよな‥」

小さく

呟くように言った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫