《MUMEI》

──灯台の下。

思っていたよりも明るい。

「何かパッとしねーなぁ」

つまらなそうに

珠季が呟く。

「つーかもう帰ろうぜ‥?」

「もう少し」

「さっきからそればっかじゃんか」

「ん‥‥‥」

そうだな‥。

何だか──

名残惜しいんだ。

君とこうしている時間を

少しでも長く保っておきたい。

大好きな君と

手を繋いで──

寄り添って。

こんな幸せって

他には絶対にない。

──だから。

もう少し。

もう少しだけ一緒にいさせてくれないか。

わがままだというのは分かっているし‥

君が帰りたいと思っているのも分かっている。

だけど今日だけ──

僕の身勝手を許してはくれないだろうか?

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