《MUMEI》

「ふぁ‥」

珠季が

小さく欠伸をした。

「眠っ‥‥‥」

目を擦って

眠気を払うように頭をブンブンと振る。

「今何時なんだ‥?」

「もうすぐ9時だな──」

「ふーん‥‥‥」

「帰ろうか」

「いんや」

珠季は頷かなかった。

ただ1言そう言って

僕の隣りで目を細める。

彼女の視線の先には

瑠璃色の空。

それを見ながら僕も

綺麗だと思う。

「───────」

本当に

綺麗な瑠璃色だ。

「なぁ‥?」

「何だい?」

「っと‥」

1度

言葉を区切る。

珠季は

息を吸い込むと長々と溜め息を付いてから

また口を開いた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫