《MUMEI》

.

地面の上で四つん這いになったまま、呆然としているわたしの耳に、伸びやかな男の子の声が、ふぅん…と唸るのが聞こえた。



「レースの水色か。普通だね」



一瞬、キョトンとした。

レース。
水色。


それは、わたしの今日のパンツと同じだった。


「ぎゃあぁッ!!」


我に返り、わたしはスカートを両手で抑えながら、地面に座り込んだ。思い切り、パンツを見られたのだ。わたしは真っ赤な顔をして、声の主を振り返る。


そこにいたのは、すらりと背の伸びた、きれいな顔立ちの男の子だった。


濃紺のブレザーに、グレーのチェックのズボン。白いシャツには、学校指定のネクタイがルーズに結んである。

.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫