《MUMEI》 . 地面の上で四つん這いになったまま、呆然としているわたしの耳に、伸びやかな男の子の声が、ふぅん…と唸るのが聞こえた。 「レースの水色か。普通だね」 一瞬、キョトンとした。 レース。 水色。 それは、わたしの今日のパンツと同じだった。 「ぎゃあぁッ!!」 我に返り、わたしはスカートを両手で抑えながら、地面に座り込んだ。思い切り、パンツを見られたのだ。わたしは真っ赤な顔をして、声の主を振り返る。 そこにいたのは、すらりと背の伸びた、きれいな顔立ちの男の子だった。 濃紺のブレザーに、グレーのチェックのズボン。白いシャツには、学校指定のネクタイがルーズに結んである。 . 前へ |次へ |
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