《MUMEI》

「ぁぁ」

それに

出会うべくして出会ったようなものだし──

今はこうして

付き合っているんだから。

喧嘩ばかりしていても

楽しいと──

幸せだと思えるんだから。

「──珠季」

「んぁ?」

「──有り難う」

「へ‥」

拍子抜けしたような声を出して

珠季は僕を見た。

いきなりお礼を言われて

戸惑っているらしい。

「‥何でもねー事でいちいち礼言うなよな‥」

「済まない、でも──その何でもないような事が凄く──僕には嬉しいんだ」

「ふーん‥?」

「本当に。もしそれが嘘なら──今僕は恐らくここにはいないだろうしね」

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