《MUMEI》 彼は、そのきれいな双眸を美しく細めて、やんわりとほほ笑んで見せた。 そして、低い声で、囁くのだ。 「……みんな、見てるよ」 いいの?と、イタズラっぽく笑った。 わたしは、はたっと我に戻る。 周りにいた男の子たちに限らず、女の子たちや、先輩たち、それから先生方まで、完全にひいていた。 さっきまでの、あの熱望の視線はどこへやら…今、わたしにむけられているのは、うって変わってシラけたものだった。 冷や汗が、背中を伝っていく。 まずい…非常にまずい! このままでは、わたしの未来に関わる、すべての可能性を失ってしまう!! わたしは目の前の男の子に、もう一度チラリと視線を投げた。 ……こんな、バカっぽい男のせいで! 冗談ではない。 . 前へ |次へ |
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