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《MUMEI》 路地をとぼとぼ歩きながら考える。 修くんが、私に何かないようにとあれこれ考えてくれているのはわかる。 修くんは、昔からいつも私に優しい。 今までも、同じような事が何度もあった。学校の前まで車で迎えに来るから、あまり友達とも遊べなかった。 −その前に、友達もいないか…− 私には友達と呼べる人がいない。中学も高校も、修くんの妹だと知っていてあまり深入りしたくないみたいだ。 たまに言い寄って来る女の子は、修くんや修くんの仲間の誰かが好きだったり。 学校を卒業してバイトを始めて、なんだか少し自由な感じで楽しいのに。 同じバイトの亜由美とちょっと仲良くなって、買い物とかして… !亜由美の誕生日プレゼント! 思い出して急に私は焦った。 確か、このまままっすぐ行って左辺りは多分、表参道だ。時間もギリギリ間に合うはず。 バタバタと急ぎ足になる。 ♪♪♪♪♪ 携帯が鳴った。 見ると将からだった。 私は無視して急ぐ。すぐに留守電になり、またかかって来た。 続けて鳴る携帯を無視してどんどん歩く。 古い団地を通り抜け、小さな公園の前を急ぐ。 ♪♪♪♪♪ −知らない番号− 「…」 「由佳か?」 無言で通話ボタンを押すと、エイジくんの声。 名前を呼ばれるのは初めてだ。 「エイジくん?」 「…悪かった」 いきなり溜め息を吐き出すのように言う。 思わず足が止まる。 「一人か?今どこだ?」 「今、表参道の裏あたり…」 「わかった。どこに行く?向かうから」 エイジくんの優しい声に何て答えていいかわからない。 「あの…」 「買い物があるんだろ?どこに行くつもりなんだ?そこへ将と向かうから。後でちゃんと話すから一緒に帰ろう。」 前へ |
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