《MUMEI》
射礼
なづきはこれ以上絵筆も進まないので佳代と帰ることにした。

他の後輩達も揃っているし、ルナは集中しているようで先生が来るまでは描き込んでいくようだ。
さよなら、と言うとパラパラ返事が返って来た。

ルナは相変わらず絵とにらめっこしている。
(……集中しているのは分かるけど、さよならくらい言ってもいいのに)


佳代とはいつもの信号で別れ、なづきは一人歩道橋の階段を上る。
そういえば、最近ルナとばかり歩道橋を渡っていた。
沈みかかった夕日が全てを紅く染め上げる。
すかさずスケッチブックを取って色鉛筆で殴り描いた、いや、塗ったの方が正しい。

一通り塗り終わってから一息ついた。
大分、暗くなっている。


暗がりで見たルナの絵は相当迫力があった。

女性らしき顔、首に巻き付く内臓、赤黒い液達が体中に染み広がって画面の骨を強調している。


グロテスクで

セクシャルで

 あまりに  美しい

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