《MUMEI》 長谷川の本音と真司の動揺「真司が必要としてるのは、自分の為に、サッカーの為に役に立つ、渡辺先輩みたいな人だと思ったの」 「…」 「ねぇ、真司、私、別れたくない。もっと頑張るから。邪魔にならないようにするから。 …寂しいのも、我慢するから。 側にいてもいい? それとも、やっぱり私はウザイ? …だから、キス以上もしなかった?」 「…真司」 「…何だ?」 長谷川の言葉に唖然としていた真司は、少し間をおいて俺を見た。 (俺の存在忘れてたな) 今の真司は、普段クールな真司では無かった。 「お前俺に言ったよな、サッカーバカなお前を理解してくれる彼女なら、付き合うって」 「…そんな女、いないと思ってた」 確かに昨日の真司の口調はそんな感じだった。 「瑠美は、ただ、普通に彼女として、俺に付きまとってくるんだと思ってた。 俺の夢を理解して、俺を支えようとして、そうしてたなんて知らなかった。 …知らなかったんだ」 「肝心な事聞いてないけど、お前、長谷川好きか?」 「好きだよ」 「嘘!」 俺と真司のやりとりを黙って聞いていた長谷川が、すぐに反論した。 前へ |次へ |
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