《MUMEI》
目立つ
(わかりやす…)


希先輩は、かなり目立つ集団に囲まれていた。


…高山一族だ。


両親である、仲村さんと志穂さん


彼氏の、柊


それに、今日は


祖父母である果穂さんと大志さんと…


(え? あれ…)


屋代さんも、来ていた。


「あ、祐也!」


柊の一言に、高山一族に注目していた集団が一斉に俺を見て


…何故か、道を作ってくれた。


「卒業、おめでとうございます…」


俺は、大輪の薔薇の花束を抱える希先輩に、自分が持っていた小さな花束を渡した。


「ありがとう」

「じゃあ…」

「祐也、行っちゃうの?」

「…もう一人、花束渡す先輩いるから」


(やっぱり目立つの苦手だ)


俺は、大蔵先輩を探す為に、その場をすぐに離れた。


大蔵先輩は、『吾妻のマスコット』だ。


だから、大人気だから、集団に囲まれているだろうが


(あっちほどじゃないだろう)


俺は気楽に考えていた。


まさか


「待てよ政宗!」

「しつこいんだよ!龍は!」


卒業式に、ヤクザの龍さんが、警察官希望の大蔵先輩を追いかけ回しているとは思わなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫