《MUMEI》

「今まで何ともなかったのに‥‥‥何なんだよ一体っ‥!」

「珠‥」

「っ‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

こんなに取り乱した珠季は

見た事が無い。

何も恐れるような素振りを見せなかった彼女が

こんなにも震えている。

まるで‥

珠季じゃないみたいだ。

「大丈夫──僕が君の側にいる」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「だから──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

珠季は

何も答えない。

ただ

黙って‥

俯いて。

窓の結露のように‥

彼女の頬を涙が伝う。

僕は

どうすべきなのかが分からなかった。

とにかく

彼女を安心させてやらないとと思っているのに‥

どうすべきなのかが分からなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫