《MUMEI》

何故僕は‥

こんなにも無力なんだろう。

‥何もしてやれないなんて。

珠季が助けを求めているというのに‥。

「‥‥‥‥‥‥‥」

急に

珠季の握力が弱まった。

だらりと両手を垂らして

放心している。

僕は

彼女を引き寄せて抱き締めた。

これでいいのかは分からないけど‥

これしか思い付かなかったんだ。

「‥‥‥‥‥‥‥」

珠季は

人形のように止まったまま。

表情は‥

前髪に隠れて良く見えない。

けど‥

完全に色をなくしている事は確かだ。

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