《MUMEI》 兼松は口の中を切り、赤い涎を垂らした。 もはや暴虐を受けた男達を睨み返す気力も残っていない…。 すると、その時… 菖蒲の間の外から何やら話声が聞こえてきた。 年輩の女性の声だ。 どうやら騒ぎを聞き付けた一般客らが「何事か?」と菖蒲の間を取り巻いているようだった。 『誰か!…け!警察を呼んでくれ!!』 兼松は"生"か"死"かの究極のニ者択一を迫られ、消去法に基づく損得勘定から、一般客らに助けを求めた。 だが… 前へ |次へ |
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