《MUMEI》

「なッ‥これはただ外出んのに着替んのめんどくせーからスポッて着れるヤツにしただけだっつの‥」

「そうなのか‥?」

確かに着替えは楽そうだけど‥。

「‥つーかオマエ、寝癖‥」

「寝癖‥?」

「‥頭」

「‥ぇ、ぁ‥‥‥」

本当だ。

珠季の電話を受けて

飛び出して来たものだから‥。

「‥あんがとな」

「ぃゃ、もっと早く気付くべきだっ‥、!!」

足元の注意を

怠っていたらしい。

僕は躓きかけて‥

でも何とか踏みとどまった。

その瞬間──

珠季が驚いて

小さく叫んだ。

「あっぶねーおまッ‥気ぃつけろよな‥」

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