《MUMEI》

「ぁぁ‥済まない、つい‥うっかり‥」

「ついうっかりってオマエなぁ‥」

呆れたような彼女の口調には

少しだけ──

いつもの調子が戻ってきているような気がした。

「安心してくれ、君を落としたりはしないよ。勿論、怪我をさせるなんて事も──」

「バッ‥そしたらてめーが危ねーだろ‥!?」

「僕は大丈夫さ。見た目より少しは頑丈だから」

「『少し』じゃねーかっ」

「フ‥」

「ん‥‥‥何だよその笑い‥」

「作戦成功──かな」

「作戦? オマエ何言っ──」

言いかけて

珠季はふと真面目な顔になる。

「──オマエ──」

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