《MUMEI》

「ん‥?」

「ぃゃ──」

「少し戻ったみたいだね、いつもの君に」

「そー‥か?」

「表情が明るくなった──まるで能面のようだったのに。口調も──さっきとは全然違う」

「───────」

「良かった」

「ん‥、っと‥、ぁぁ」

表情を見られないようにと

珠季は僕の肩に顔をうずめた。

「オマエ、やっぱすげーな」

ポツリと呟いた声が

聞こえた。

凄くなんかないさ──

そう言おうと口を開いた時だった。

「──ぁ!」

珠季が

空を示して叫んだ。

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