《MUMEI》
先生のバカ!!
翌日、学校に行った加奈子はある噂を耳にした。

「ねぇ、加奈子。今朝のニュース見た?」

授業中にも関わらず、小声で話し掛けてくるこの隣の女の子は、東京に来て初めて出来た友達の美雪だ。

授業といっても、大学の授業。この広い教室の中では、教師もヒソヒソ話し程度では気付かない。
二人はそれを良い事に、毎日の様に授業そっち退けでお喋りに勤しんでいた。


「ニュース?見れるわけないじゃん!」
「やっぱり…」

朝の弱い加奈子は、そんなもの悠長に見る暇がない。美雪もそれは知っていた。
だから普段はそんな話題は持ち出さないのだが、今日はどうやら様子が違う。

だから聞いてみたのだ。

「なんかビッグニュースでもあった?」

その途端、美雪は“待ってました”と言わんばかりに輝いた目を加奈子に向けた。

「聞きたい?」
「うん!聞きたい、聞きたい!!」

興味津々な加奈子を焦らす様な美雪の態度に思わず興奮してしまう。

「そこ!うるさいぞ!!」

そのせいでつい加奈子の声が大きくなってしまい、教師に気付かれてしまった。
『すいません…』

二人仲良く息を揃えて謝る。


「ゴメン!また後で話すわ!」

美雪はそう言うと、優等生の振りをするかの様に、直すぐ前を向いてしまった。

マジで…
またお預けされるの〜?


加奈子は不満たっぷりの表情を美雪に向ける。
しかしもう既に彼女は優等生モードに切り替わっていた。


そんなぁ…
仕方ない、休暇の時にでも聞くしかない!


加奈子は自分を納得させるように言い聞かせると、自分も優等生モードに切り替えた。


しゃ〜ない、我慢我慢っと…


だがしかし、時が進むのがかなり長く感じて仕方なかった。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫