《MUMEI》

そのとき、ヒョロッとした男の子が、彼に近寄ってきた。

「義仲、おはよう〜」

ヒョロ男は彼の肩に腕をまわして、また同じクラスだな、とうれしそうに言った。

……と、いうことは、自動的に彼らは内部生ということになる。

……と、いうことは、つまり彼らは超金持ちということに。


その刹那。
わたしの中で、悪魔が囁いた。


……ラッキー!金持ちと知り合えるチャンスだよ、璃子!!テキトーに返事してお近づきになりなよ!


わたしの心が、少し揺らぐ。

たしかに、一理ある。


しかし……。


富士山よりも高い、わたしのプライドが、どうしてもそれを許さなかった。

結局、黙ったまま俯く。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫