《MUMEI》 そのとき、ヒョロッとした男の子が、彼に近寄ってきた。 「義仲、おはよう〜」 ヒョロ男は彼の肩に腕をまわして、また同じクラスだな、とうれしそうに言った。 ……と、いうことは、自動的に彼らは内部生ということになる。 ……と、いうことは、つまり彼らは超金持ちということに。 その刹那。 わたしの中で、悪魔が囁いた。 ……ラッキー!金持ちと知り合えるチャンスだよ、璃子!!テキトーに返事してお近づきになりなよ! わたしの心が、少し揺らぐ。 たしかに、一理ある。 しかし……。 富士山よりも高い、わたしのプライドが、どうしてもそれを許さなかった。 結局、黙ったまま俯く。 . 前へ |次へ |
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