《MUMEI》

「つーか何だ? オマエのその缶──」

「ぁぁ‥ブドウゼリーとかいう──‥‥‥出てこないな」

「振るんだよ、振んなきゃ飲めねーの。つーかオマエがそんなの選ぶって意外‥」

「たまにはいいかな、と」

「貸してみな──振ってやっから」

「おい‥?」

振るって──

プルタブはもう開けてしまっているんだぞ‥?

第一‥

縦に振れば確実に中身が零れる。

物理的に考えて不可能だ。

「──ほいっ」

「‥ぇ」

目の前に差し出された

缶。

「有り‥難う‥」

考え事をしていたから‥

珠季がどうやって缶を振ったのかは分からない。

けれど──

ちゃんと飲める状態になっているみたいだ。

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