《MUMEI》
溜まり続けるストレス
メガシテイ、東京――。博多にはない、超高層ビルが所狭しと林立する。急な転勤だったので、とりあえず新宿のマンションを借りて住んだ。
博多では車だったが、ここでは電車通勤。
新宿駅はものすごい人の数だ。朝のラッシュ時、満ちあふれた人の波。しかも歩く速度が尋常じゃない。
人、人、人‥‥もみくちゃにされ、やっとの思いで乗り込んだ電車内は、全く身動きできない満員状態。
(フゥ、やり切れん‥)毎日の通勤だけで、勇斗は疲れが溜まっていった。
慣れない大都会での雑誌編集の仕事は、想像以上にハードだ。
『知っ得情報誌―YOKAYO』東京支社は、勇斗を中心に、わずか5人の陣容だ。『YOKAYO』は博多弁の“よかよ”、つまり『良いよ』の意が込められている。
毎日毎日、広大な未開の荒野を開拓するかのように、勇斗たちは、渋谷、原宿、六本木‥‥そして夜の歌舞伎町と、駆けずり回った。
安くて旨い穴場のグルメ店や、オシャレでセンス抜群のブティック等々、情報集めから取材、原稿作成と、無我夢中で仕事に明け暮れた。
東京赴任から一か月、何とか『YOKAYO東京版』の第1号が完成した。九州から東京進出した、記念すべき“努力の結晶”だった。がしかし‥‥

「先輩、大丈夫ですか?最近、顔色が悪いっすよ」―入社一年の新米記者、林田耕平が心配そうに聞いてきた。
「ああ、どうも最近、疲れが溜まってな‥‥まあ心配するなって」。後輩には強がってみせたが、転勤以来、勇斗の疲労はピークに達していた。
環境の変化、東京進出の成否の鍵を握り、日々ズシリと重みを増す責任感、

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