《MUMEI》

「芙原さ‥‥‥」

「緋色」

「ぇ」

「緋色って呼びな」

「‥‥‥‥‥‥?」

「だから、名前で呼べっつってんだよ」

「出来ないよそんな事‥」

「光喜」

「‥!?」





ぇ‥‥‥

今‥。





「で、どーなんだよ、返事」

「ょ‥宜しくお願いしますっ」

「タメでいーっつの。つーか何だよ『宜しくお願いします』って──面接じゃねーんだから」

「ご‥ごめんなさい‥」

「謝んなくていーから」

「でもっ‥‥‥」

「今度はゴツッてすんぞ‥?」

「ぅゎぁッ‥!?」

「冗談だっつの」

「ぇぇ‥」





ビックリした‥‥‥。





「さーて、戻るかな」

「ぇ、待ってよ芙原さ‥」

「『緋色』」

「ひ‥‥‥いろ‥」

「ほら、次の授業遅れんぞ」

「うん‥っ」





僕は、

走った。




──緋色の背中を追いかけて。

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