《MUMEI》 終章1 青空の下で【藍伊side】「──よっ」 「ぁ‥‥‥先輩──」 あの日以来、 私達は毎日屋上で会うようになった。 「ん〜、いい天気だなぁ」 「──あの──」 「?」 「緋色ちゃんとは──」 「一応、何とかなったからさ」 「───────」 「ほいっ」 「ぇ」 ──ボール。 先輩の、 バスケットボール。 「先輩──」 「投げてみ? こっちに」 「──えっと‥、はい──」 ボールを、 先輩に向かって投げる。 先輩はボールを受け止めて、 「ほいっ」 また私に投げてきた。 それを、 繰り返す。 だんだん、 楽しくなってきた。 「な、結構楽しいもんだろ?」 「──はい」 私達は、 暫く夢中になってボールの投げ合いをしていた。 ──眩しい、 青空の下で。 前へ |次へ |
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