《MUMEI》

「ぉ‥‥‥ぉぅ」

「ほなっ」

宮上は僕達に笑い掛けて行ってしまった。

残された僕達は、

顔を見合わせてキョトンとした。

けれど

その数秒後には。

僕らは──

笑っていた。

珠季は

とても眩しい笑顔をしていた。

「っし、アイス食いに行くか♪」

「ぇ、まだ決着は付いて──」

「アタシがおごってやるよ、借りもあるし」

「───────」

「何にすっかな──」

「なッ‥こら僕を置いて行く気か‥!?」

「早く来いよ、ほら」

珠季に言われて

僕は駆け出さざるを得なかった。

「──珠季、こら待てっ」

「待ったら捕まっちまうだろ?」

「いつから鬼ごっこが始まったんだ‥?」

「今から」

「──‥仕方無いな──」

付き合ってあげる事にしようか──。

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