《MUMEI》

「こら!順平お兄ちゃんでしょ!」


『お兄ちゃん』を強調して、美奈子先生は翔太君を注意する。


でも、当の本人はツンとしたまま、部屋の中に入ってしまった。


「全く…。ごめんね、普段はあんな子じゃないんたけど…。」


「いえ。別に気にしてませんよ。」


僕は苦笑いしながら答えた。
やれやれ…

どうやら、完璧にライバル視されたらしい。


「何かあったのかな〜…?」


「ハハ…」


心配してる先生に、居心地悪い笑いしか出てこない。

「まぁ…ちょっと早い思春期みたいなものですよ。」

不思議そうな顔をしている美奈子先生を横目に、僕は言った。


「さぁ!まだ準備の途中でしょ?僕も手伝います。
早く中入りましょう!」


「そうね。皆に紹介しなくちゃね!」


僕は再び両手に、ダンベル変わりの袋を持ち、美奈子先生の後に続いた。

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