《MUMEI》

義仲の襟首を締め上げて、グイッと顔を寄せる。


「カ タ ク ラ リ コ !!おまえ、耳までイカれてんのかっ!!」


一言ずつ区切るように、大音量で叫んだ。

一瞬にして教室内の空気が凍り付く。クラスのみんな…特に男子たちの視線が痛い。


……はっ!!

し、しまった!つい、本性が!!


クラス中が注目する中で、わたしは素早くアホの襟首から手を離すと、わざとらしくコホンと咳ばらいをし、ニッコリと飛び切り上等なほほ笑みを浮かべて見せた。


「ごめんなさぁい!こんどのCMオーディションの役柄がヤンキーなので、その練習をしてましたぁ〜」


ぶりっ子して言うと、クラスメートたちは、なぁんだ!と明るく笑った。

「びっくりしたぁ。なんだ、練習かぁ」

「すごい演技力だな〜」

「そのオーディション、絶対合格出来るよ〜!」

アハハ!と声をあげた。クラスがいっぺん、和やかなムードになる。

上手くごまかせたので、わたしはホッと胸を撫でおろす。

.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫