《MUMEI》

教壇にいたおじいちゃんが、えぇっと…とモゴモゴ呟いた。

「返事がないから、片倉さんは欠席…っと」


じいさん、空気読めよ!!


わたしは勢いよく椅子から立ち上がり、います!!片倉はここにいますよ!と挙手をした。

おじいちゃんは、あ、いたの?ととぼけた口調で独り言を言って、何事もなかったように出欠をとり始める。

「次は……櫻井 義仲くん」

おじいちゃんに呼ばれて、隣のアホが、はい、と返事をした。


サクライ ヨシナカ……。


わたしはチラリと義仲を盗み見る。

そういえば、さっき、自分から名乗っていたな……。

彼はだらし無く椅子に腰掛け、おおあくびをしていた。

よくよく見ると、やっぱりきれいな顔立ちをしている。内部生のような口ぶりであったから、きっと中等部の頃から、女子にモテていただろうとおもった。


……でも、こんなヤツ、死んでもゴメンだけどねっ!!


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