《MUMEI》

フンッと鼻を鳴らしたとき、急に義仲がわたしの方を見た。バチッとお互いの視線がぶつかる。あわててわたしが目を逸らすと、義仲はズイッと身を乗り出してきた。

「なに?璃子ちゃん、俺になんか用?」

「べつに、なにも!」

つっけんどんに返しながら、名前で呼ぶな!と心の中で毒づいた。
すると、なにをおもったか、彼は目を細めて柔らかく笑い、呟いた。


「照れんなよ」


頬の筋肉が、ヒクッと痙攣するのを感じた。





−−−−ちっがーうっ!!!






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