《MUMEI》 「何そんなにビビッてんだオマエ‥」 「君がいきなり話し掛けるから──」 「なッ──またアタシのせいかよ」 不満げに言って 珠季はアイスクリームを頬張る。 その仕草に 見とれてしまっていた。 「──んぁ?」 また頬張ろうと口を半分開けた珠季が 視線に気付いてこっちを向いた。 視線が、 かち合う。 お互い、 そのまま数秒間。 先に動いたのは 珠季だった。 ビデオの一時停止を解除したかのように 彼女は溶けてしまわない内にとアイスクリームを口に運ぶ。 そしてみるみる内に 彼女の手からアイスクリームがなくなった。 前へ |次へ |
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