《MUMEI》

「何そんなにビビッてんだオマエ‥」

「君がいきなり話し掛けるから──」

「なッ──またアタシのせいかよ」

不満げに言って

珠季はアイスクリームを頬張る。

その仕草に

見とれてしまっていた。

「──んぁ?」

また頬張ろうと口を半分開けた珠季が

視線に気付いてこっちを向いた。

視線が、

かち合う。

お互い、

そのまま数秒間。

先に動いたのは

珠季だった。

ビデオの一時停止を解除したかのように

彼女は溶けてしまわない内にとアイスクリームを口に運ぶ。

そしてみるみる内に

彼女の手からアイスクリームがなくなった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫