《MUMEI》

「本当に君は何というか‥‥‥」

チョコレートアイスクリームなら

幾らでも平気なんだな‥。

「オマエ、デザートは?」

「ぃゃ──結構」

とてもじゃないけど

これ以上は無理だ。

ましてや

それがチョコレートアイスクリームなら尚更‥。

「──ぁ」

珠季の声で

僕は我に返った。

どうしたのか

と訊いたら。

「ちゃんと飲んだか‥? 貧血止め」

そう訊かれて

僕はハッとした。

その事を

忘れていたから。

食後に気付かせてくれて幸いだった。

僕は

直ぐに錠剤を鞄から出して

それをグラスの水で流し込んだ。

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