《MUMEI》

──小麦色に焼けた肌。

──束ねられた黒髪。

──華奢な体。

「おい‥?」

「何でも無いよ、何でも──」

「‥何か怪しいんだけど」

身震いするような仕草をして

珠季が上目遣いに僕を見る。

それが

女の子らしいというか──

妙に可愛らしく思えてしまうのは

気のせいだろうか。

気のせい‥

じゃないな。

「──とうッ」

「!!」

軽くではある。

けれど

‥かなり痛い。

背中に回し蹴りとは‥

なかなかやるな‥。

「──あんまりアタシの事本気にさせんなよ?」

「ぇ」

待て‥

それはどういう意味だ‥?

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