《MUMEI》

珠季は

ずっと笑いっ放しだった。

今朝の様子からは

想像もつかない。

──けれど

いつもの珠季だ。

「‥ん」

──手首。

掴まれている。

珠季に。

「───────」

「ちったぁあれだな、丈夫になったみてーだな」

「ぇ‥?」

「貧血で簡単にブッ倒れちまうよーな感じじゃなくなったな、ってさ」

「──お陰様で」

「誰の」

「──君の」

「はッ!?」

「何故いつもそういう反応ばかりなんだ‥?」

「アタシが知るかよッ」

掴んでいた手首を放して

珠季は先へ先へと歩いて行く。

駆け寄って

僕は彼女を後ろから抱き締めた。

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