《MUMEI》 = = = = = = = = = = = = = = = = = = = = 「ふきん…コレかな?あと何点か食器と洗剤と…」 ちょっと郊外の日用品が売っている、日本で言うホームセンターのような所に来ると、家で書いてきたメモを見ながら色々と家に無かったものをカゴに入れていった。 「本当に一人暮らしで、家に何も無かったんですね…」 「あぁ…あの家では料理もした事はなかったしな、帰って寝るだけの家だ」 克哉さんのあの部屋は生活臭というものが全く無くて、インテリアも今さっき引っ越してきたというような殺風景な雰囲気だった。 といっても僕の部屋も同じくらい殺風景だったけどね…。 僕はあの生活から着の身着のままで出てきて何も持っていなかったけど、部屋にはいると何故かある程度の家具が揃っていた。 その部屋の鍵は一年間一緒に過ごしたあの人が突然渡してきたんだけど『俺が用意したんじゃねぇぞ…』と言っていて、その渡してきた鍵を受け取って住所の場所に行ってみると、もうすでに一通り生活出来るようになっていたのだ。 その部屋の様子を見た瞬間、何だか分からないけどここを用意してくれた人が瞬間的に頭に思い浮かんだ。 兄さん…。 「あきらしゃ〜ん、コレがカエルのアワアワなの〜」 「あっ…ありがとくるみちゃん♪」 くるみちゃんがパパがいつも使ってるという緑色のカエルの絵が描いてある可愛い洗剤を克哉さんと一緒に持ってきてくれた。 「おりぇもお手伝いしゅるんだよ〜」 「偉いねぇ〜くるみちゃんもパパさんみたいになれるといいね」 「うん、おりえ格好いいパパになるんらよぉ♪」 そう言ってくるみちゃんはお菓子コーナーに早く行きたいのか、足をソワソワさせていた。 前へ |次へ |
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