《MUMEI》 . そこで、気がつく。 前方にステージの脇に、教員たちが厳かな雰囲気で待機していた。 その中の、ひとりに、目がとまったのだ。 まだ、25、6くらいの青年。短い黒髪に、ほっそりとした体格。 そして、黒いセルフレームのメガネ。 わたしはおもいだした。 義仲のせいで、たくさんのひとたちにパンツをお披露目したとき、彼を追いかけていった青年だ。 ………先生だったんだ。 けれど、ふに落ちない。 彼は生徒である義仲を、《ヨシナカさん》と呼んでいた。名字ではなく、名前で。しかも、《さん》付けで。 どういうこと……? 悶々と考えこんでいると、生徒会長の挨拶になった。 わたしはステージにぼーっと目を遣り、 そして、くぎづけになる。 . 前へ |次へ |
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