《MUMEI》
タマゴ発見!!
演説台にやって来たのは、ほっそりとした長身の男子生徒。たぶん彼が、生徒会長なのだろう。

遠目でもわかる、彼のノーブルで上品な顔立ちは、わたしの理想そのものだった。


彼は、すらりとした長い指で、マイクの高さを調節してから、わたしたち新入生にむかってほほ笑んだ。

「初めまして、こんにちは。生徒会会長の松本 直樹です。この度は、蓬莱学園高等部へのご入学、おめでとうございます……」

透き通るような会長の声に、わたしはひたすら聴き入った。


……マツモト ナオキ。


彼の名前を心の中で、何度も何度も反芻する。

不意に、どこかから女子生徒たちの囁き合う声が聞こえてきた。


「松本先輩、カッコイイ〜。中等部の頃からカッコイイけど」

「それに頭も良いんだよね。中等部のとき、模試で全国3位だったって聞いたよ」


どうやら、会長の話をしているようだ。

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