《MUMEI》
結局巻き込まれる
(…関わりたくない)


理由は全くわからないが、その光景を見た俺が真っ先に思ったのはそれで


(この花は、部長から渡してもらおう)


俺は、密かにその場を


「あ、祐也!」

「え? 田中祐也?」


立ち去ろうと…


「祐也、龍知ってんのか? 助けろ!」

「うわ!」


した背中に、大蔵先輩が飛び付き


「田中君。君は、諦めた。だから、政宗をこっちにくれ」


俺の正面で、龍さんが手招きした。


「祐也は俺の味方だよな!」

「話し合い位はさせてくれるよな、田中君」

「…すみません。全然状況がわからないんですが…」

「こいつ俺をヤクザにしようとするんだ!」

「えぇ!?」


(ヤクザな大蔵先輩は、無理あるだろ)


いくら強くても、俺には正義感の強い大蔵先輩がヤクザになれるとは思えなかった。


「俺の組はただの暴力団じゃない! 歴史あるヤクザだ! 地域に優しい連中ばかりだ!」


(優しいヤクザって…ありえないだろ)


「とにかく他あたれよ!」

「嫌だ! 俺はお前に惚れたんだよ!!」


その時


…大蔵先輩と、その場の空気が、…凍った。

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