《MUMEI》
更なる混乱の中
「な、な、な、何言ってんだ! 変態! ホモ!」


大蔵先輩はまた俺の後ろに隠れてしまった。


(俺も、ホモ…みたいなもんなんだけどな…)


更なる混乱を生みそうなので、俺は沈黙を保つ事にした。


「ちちち違う! 俺は、お前の強さとか、男前なとこに惚れたって…」

「惚れたとか言うな!」

「そこだけ強調しないでくれ! 俺は…」


「… … ショタコン?」


(え?)


「ゲッ! 何でテメーがここにいやがる!」

「そりゃ、可愛い姪と甥の卒業式だから」


「…おっさん、誰?」


(大蔵先輩、『おっさん』て…)


現れたその男性は、年齢的にはそう呼ばれてもおかしくないが


普通はそう呼べない美形オーラがあった。


「『おっさん』って新鮮だな」


美しい笑顔を振り撒きながら、その人


柊の父親


高山大さんは、龍さんの肩を抱いた。


「おっさんは、このヤクザの同級生で、今はお医者さんだよ。

面倒なヤツに好かれて災難だね、坊や」

「ど、同級生!?」


大さんのセリフに、俺は思わず口を開いていた。


「本当だよ。おっさんどうにかしてくれよ」


大蔵先輩はマイペースだった。

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