《MUMEI》
龍さん撤退
「…頼まれちゃった。どうしようかな?」

「じゃ、邪魔すんなよ、ダイ」


二人は、本当に、同級生で


しかも、仲がいい様子だった。


(立場は完全に大さんが上だけど)


「とりあえず、今日は帰れば? 卒業式の邪魔だし」

「姪と甥の為か」

「それと、可愛い妹の為。…他に何がある?」


(やっぱりそれか)


なんだかんだ言っても、高山一族の基準はそこらしい。


「あんまり騒ぐとうちの母親も気付くよ?」

「それは… 困る。 政宗!」

「何だよ変態」


…大蔵先輩の中で龍さんは『ホモの変態』で固まったようだ。


「俺は諦めないからな!」

「ストーカーになるなよ」


走り去る龍さんに、大さんが声をかけた。


「ストーカーは犯罪だよな。…やったら逮捕してやる」


呟いた大蔵先輩の言葉は、冗談には聞こえなかった。


(と、とにかく)


「改めまして。先輩、卒業おめでとうございます」

「おう! サンキュー!」


(やっと渡せた)


その後、大蔵先輩はたくさんの花束と、お菓子とぬいぐるみをもらって、ご満悦だった。


そして、大蔵先輩はずっと笑顔で一部始終を見ていた部長と手を繋いで学校を後にした。

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