《MUMEI》

「へー、初耳だなぁそりゃ」

「それはそうだろうね──今初めて言ったんだから──」

「っつー事は、夜道も駄目なのか?」

「独りで無ければ平気なんだけどね──」

「意外と‥可愛いとこあんのな」

「ぇ」

その珠季の台詞が

僕に向けられたものだと気付くまで‥

少し時間が掛かった。

「僕がか‥!?」

「ぉぅ、つーかオマエしかいねーじゃん」

「ま‥待て、それは──」

「?」

「ぃゃ、その‥」

「テンパり過ぎじゃね‥?」

「君がそうさせたんじゃ‥」

「──ほら、こっち来てみな」

「なっ‥おい‥!?」

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